ナンパ記事

夜を越えて春は巡る(中編)-遊び心と戦略でリードする-

 

夜を越えて春は巡る(前編)-深夜ナンパで決死の連れ出し-

 

非日常の世界へ

 

深夜ナンパでなんとか連れ出すことに成功。

乾杯をして公園へ向かう。

 

会話の中でお互いを知っていく。

まじめに答える場面ではない。

ユーモアと雑さを意識して切り返す。

よく笑ってくれる子だった。

 

そうして公園が見えてくる。

 

なっち「そこの公園」

はな「え、思ってたとこと違うw」

な「思ったより微妙だなw」

は「絶対ここじゃないw」

な「まじかw次探すか」

は「でも公園の名前わかんないや」

 

どうやら違う公園だったらしい。

反応からしてここに留まるのは悪手だ。

だが、彼女の言う公園に行くのは難しそう。

グダグダになるのは避けたい。

 

どうする?

 

彼女の足元はスニーカー。荷物は少ない。

 

 

な「散歩好きっしょ?」

は「うん」

な「じゃあ桜見にいこ」

は「まだ咲いてなくない?」

な「だから探しに行くんだよw」

は「笑、いいよw」

 

そうして某花見スポットを目指す。

桜が咲いているなんか知らない。

全てノリだ。

この提案がどう転ぶかはわからない

もうルーティンも何もない。

 

 

シーンが変わる。

繁華街を離れ、ひっそりした夜道を歩いていく。

時々生まれる沈黙が心地良かった。

 

そして交差点で寄り道を思いつく。

流れるように隣街へ入っていった。

 

人はもうどこにも見当たらない。

いつもはうんざりするほど賑わうストリート。

だが、今はすっかり静まり返っていた。

昼とは全く違う表情を見せる若者の街。

 

それからさらに一本路地裏に入り込む。

 

 

そこには英国のような光景が広がっていた。

誰も知らない街へ来たようだ。

彼女の感度も悪くない。

 

真夜中だから演出できる非日常感。

深夜ナンパの新しい発見だった。

 

いつも同じことをしていてはつまらない。

結果よりも新しい経験がほしくなる日がある。

僕たちは刺激に飢えている。

検索してもたどり着かない経験に価値がある。

 

結果や再現性は大事だが、それが全てじゃない。

人生は楽しむためにある。

「遊び心が人生を彩る」

その指針はこの先も変わらない。

 

 

感情が動くポイント

 

一方、雰囲気だけでは心の距離は縮まらない。

好意のサインや体の距離感。

まだ遠く感じる。

彼女の内面に入り込む必要があった。

 

 

恋愛、仕事、お金、人間関係。

僕は彼女の感情が動くポイントを探していた。

 

人付き合いで困ったことがないという彼女。

それはコミュ力の高さや余裕からも理解できた。

苦手な人との距離の取り方も知っている。

人間関係や仕事に不満はない。

一方、恋愛については表面上の話までしかできなかった。

 

明るさとは反面、警戒心が強い。

その後を臭わせるトークは逆効果だ。

ボディタッチ、ハンドテストはしない。

クロージングはかけるべき時に一気にいく。

 

 

スト缶を買い足し、花見スポットに到着。

しかし、桜は咲いていない。

 

彼女との距離はまだ遠い。

突破口が見えないまま繋がることはない。

展開を変える必要があった。

 

 

突破口

 

少しベンチで休憩することにした。

冷静になって次の手を考える。

 

相手の内面の仮説を立てる材料の1つに、

”どのような育てられ方をしたか”というものがある。

そこで僕は家族の話をすることにした。

 

育ちが良さそうという話の流れから繋げる。

そこで彼女は家族の話を明るく語ってくれた。

ヒットしたかもしれない。

 

「家族と同じような家庭を作りたい」

「お母さんみたいな人になりたい」

「なんだかんだお父さんのような人が好きかも」

 

両親から大切に育てられたことがわかる発言だった。

素直にそんなことを言える子は素敵だと思う。

苦労話よりも未来の話をする方が刺さりそうだ。

 

そして将来の話、恋愛の話にシフトしていく。

彼女の会話量が増えてくる。

声に感情が乗ってくる。

この状態になったら上手く聞き手に回るだけだ。

 

 

実は最近別れたばかりだと言う。

タイミングが良い。

僕は本当に運が良かったのだろう。

 

元カレは経済力、学歴、職業、家柄、全てが超一流の男。

去の男もレベルが高い。

経営者や某有名Youtuber。

経済力、影響力は億レベルだった。

 

だが、ここで感心してはいけない

「そうなんだ」「すごいじゃん」

淡々と返していく。

 

話は聞いてあげるマインドで良い。

同じ土俵で話す必要はない。

 

 

それが功を奏したのか、話は止まらない。

次第にネガティブな話も出てくる。

 

話が面白いのでつい聞きいってしまいそうになる。

だが、最後まで話し込まなくていい。

ここでお腹いっぱいにしてはならないのだ。

 

また会える保証は全くない。

会えたとしても男として見てもらえるだろうか。

過去の苦い記憶が自分をハッとさせる。

 

足りないくらいでちょうどいい。

てきとうなタイミングでベンチを立つ。

もう少し回ってみようと提案。

確信はないがこのまま留まるよりはいい。

 

 

 

そうして歩いた先で桜を見つける。

満開ではないが、確かに咲いていた。

 

綺麗だね、と言う彼女が微笑ましい。

 

桜を撮る彼女。

それを撮る自分。

 

は「ちょっとw」

な「まちがえたわ」

は「やめて笑」

な「じゃ、一緒に撮ろ」

 

お互い写真を撮るのが下手だった。

 

な「センスねえなw」

は「私の方が上手いからw」

 

そうやって写真を何度も撮り直す。

ベタなやりとりだが、楽しい。

 

 

勝負をかけるタイミング

 

始発の時間が近い。

そろそろ勝負をかけなければならない。

 

 

な「雨ふってきた」

は「え、ほんとに?」

な「コンビニ行くか」

は「うん」

 

突然の雨。

 

わかってる、このタイミングだ。

状況は上手く利用する。

ここで決める。

 

 

少し歩いて道路に出る。

僕はタクシーを止めた。

そして運転手に目的地を告げる。

 

行き先はコンビニではない。

 

 

彼女は特に何も言わない。

体の距離が近い。

 

 

そうして家へ到着する。

 

二人とも疲れていた。

 

頭をなでる。

抵抗はない。

 

耳に触れる

抵抗はない。

 

彼女にゆっくりキスをした。

 

 

抵抗はない。

確定した。

 

 

僕は息を呑む。

脳梁がブチ切れるほどに興奮する。

なだれ込むように彼女を抱いた。

目の前で乱れる姿に完全に理性がぶっ飛ぶ。

 

最高なんて言葉じゃ足りない。

顔も、髪も、肌も、体も、声も、求める姿も、全てが美しい。

 

何度果ててもまるで尽きる気がしない。

有り余るほどのエネルギーがみなぎっていた。

 

これほど興奮できることは他にそうはない。

性欲を超えて、達成感、征服感、全能感。

あらゆるものが満たされていく。

 

「もう死んでも構わない」

 

一言で表すならそんな言葉になる。

いつの時代にも女に狂う男がいるのも頷ける。

 

 

急展開

 

起きてからも何度も体を重ねた。

既に日が沈む時間になっていた。

時間の感覚がなくなるのは久しぶりだ。

 

彼女の帰る時間も近づいていた。

 

 

このまま会えなくなるのだろうか。

ナンパでの出会いは希薄になりやすい。

追ってはいけないが、なんとなくでは繋がらない。

レベルが高い女性ほど痛感する。

 

 

沈黙ができる。

何も言わず、僕は彼女を抱きしめた。

 

 

「はな」

 

「ん?」

 

「離したくねえわ」

 

 

彼女の反応を待つズルい自分がいた。

正直余裕はない。

精一杯の表現だった。

 

 

「…愛してくれてもいいよ?」

 

 

その言葉に僕は頭を撃ち抜かれた。

 

 

ABOUT ME
なっち
恋愛、仕事、お金、人間関係、低身長、いじめ、劣等感、コミュニケーション、社会不適合、あらゆるコンプレックスと向き合う過程で自分が本当に欲しかったものは自信であることに気づく。 20代後半。身長150台。夜職経験あり。 コンプレックスだらけだった自分がストリートナンパをきっかけに人生を切り開く。 人生を賭けて自信を追求中。