前編
後半は即までの流れとバイバイまでの心境を書きます。
カラオケで1時間弱。
手から髪、顔付近もタッチに抵抗はなし。
和んだところでキスしようと顔を近づける。
調理子「しないよ?私まだキスしたことないし」
表情はまだ固い。
和みなおす。
再トライ。
「俺じゃ嫌?」
「嫌じゃないけど・・・」
「じゃあ目閉じて」
「んー」
目をじっと見つめる。
ゆっくり顔を近づける。
キス成功。
時間をかけてDキスに移行。
慣れてない感が良い。
その後は胸も大きなグダはなく。
下に手を伸ばしたところで、ここでは無理、と。
もともと処女をカラオケで即るつもりはない。
カラオケは仕上げるための場所だ。
言わせたところでホテル打診。
調理子「しないよ?」
まだ勝ち確定の表情ではない。
カラオケを出て、手をつなぐ。
手をギュッと握ったらちゃんと返してくれた。
雰囲気は悪くない。
が、ここで問題発生。
調理子「やばい。親から鬼電きてる。」
調理子の親は過保護らしかった。
ここで電話に出られたら終わると思った。
申し訳ないがチャンスを逃したくはなかった。
な「とりあえず、〇〇(調理子の最寄駅)まで行こうか。だから今は電話にでないで」
近くにホテルがなかったため、どちらにせよ移動する必要があった。
終電も近い。
このまま逆方向の電車に乗ることもできた。
今、逃げ場をなくして即るのは違うと思った。
本来は考える隙を与えるべきではない。
だが、ちゃんと納得した上で着いてきてほしかった。
調理子の最寄駅到着。
改札を出る。
左へ行けば、調理子の家。
右へ行けば、ホテル街。
帰したくない。
勝負の時が来る。
手を引っ張った。
「後悔させないから今日はこっち来てほしい」
調理子「・・・しないよ?」
良い表情をしていた。
いける。
手を繋いでホテル前まで連れていく。
少しだけ抵抗があった。
だが、力は入っていない。
そして、ホテルin。
もうグダはなかった。
恥ずかしそうな表情を浮かべる彼女。
丁寧に脱がせていく。
傷一つない綺麗な体だった。
後に恐怖を残さないように、ゆっくり、ゆっくりと。
少しずつ求めてくる過程が愛しかった。
そんな彼女をいっぱい抱きしめた。
タイプの子との時間はあっという間だ。
3時間じゃ足りない。
休憩でしか空いていなかったのが悔やまれる。
ホテルを出た。
どこかほっとしたような、寂しいような。
不思議な気持ちだった。
調理子のチャリがある駐輪場まで一緒に歩く。
送って行ったら歩いて帰ろうと思っていた。
もう十分楽しい時間を過ごさせてもらった。
出会えて本当に良かった。
その旨を伝えた。
調理子「一人で帰るには遠すぎるよ。私も行くよ」
ここから歩いて帰ったら約2時間。
調理子はすぐに帰れる状況。
きっと疲れているはずなのに。
今日会ったばかりなのに。
なんて優しいんだろう。
深夜3時。
人々が寝静まる真夜中の街。
ここにはもう二人しかいない。
たわいもない話をしながら夜道を歩いた。
誰もいない道を二人乗りしながら駆けた。
世界が止まったような夜だった。
風が心地よい。
いつのまにか涼しくなった。
消失感を肌で感じた。
夏が終わったんだ。
同時に囚われていた過去にも終わりを告げた。
非モテの学生時代にあこがれていた青春。
もうとっくに終わっているかと思っていた。
勝手に終わらせていたのは自分だった。
調理子には今気になる人がいるらしい。
その人と付き合ったらもう会えないと言う。
悔しいが今の自分に引き留める権利はない。
調理子と一緒にいたらきっと楽しいだろう。
それでも調理子と付き合うことはない。
できることなら彼女にしたかった。
ただ、それ以上の未来は考えられなかった。
時間を奪うことはできない。
まだちゃんと恋愛をしたこともないんだ。
これからいろんな経験を積んでいってほしい。
調理子と帰った道はもう通ることはないかもしれない。
それでも、またいつか通ることがあれば今日のことを思い出すだろう。
調理子の中にも何か残るものがあれば。
外が明るくなってきた。
楽しかった時間にも終わりがきた。
もっと家が遠ければ良いのに。
そう思ったのは初めてだった。
もう一度、彼女を抱きしめた。
な「出会えて良かったよ」
調理子「私も。会えて良かった。またね」
な「おう。またな」
彼女の「またね」という言葉が頭の中で反響する。
「永遠にさようなら」と違いのない「またね」かもしれない。
最後はかっこよく去りたい。
だが、一度だけ振り向くことにした。
彼女もまた、振り向いていた。
笑顔だった。
様々な感情が頭の中を駆け巡る。
切ない、という気持ちが1番強いだろうか。
それでも感情が動く瞬間が好きだ。
そんな瞬間をこれからも増やしたい。
ナンパを続けてきて良かった。
心から思った。